2012年5月9日水曜日

乳酸 運動生理学マメ知識


乳酸

運動を行うということは筋肉を縮ませる必要があります。筋肉では解糖系の働きによりエネルギー(ATP)が作られるのですが、解糖系には酸素を必要としない無酸素系があり、酸素を必要とするのは有酸素で酸化系と言われます。よく有酸素運動とか無酸素運動とか聞きますよね!

短距離の100m走で全力走をするときは速筋線維を中心に使用します。この様にスピード・瞬発力が必要な最大努力に近い運動では主に無酸素系解糖がエネルギー産生を行います。この時に筋肉内ではこの無酸素系解糖で乳酸が作られます。

これに対して、マラソンなどのような持久力を中心とした低負荷の運動では、酸素を利用する有酸素の酸化系が使用されます。

無酸素運動ではより乳酸産生が多く、有酸素運動では乳酸産生は少ないという特徴があるのですが、無酸素運動中でも酸素は必要ですし、有酸素運動中に乳酸も全く作られないということもありません。基本的には1か0の関係ではないのです。

解糖系・酸化系と言われても?難しいですよね。簡単にエネルギー産生と乳酸について理解しておくことが大切です。


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私達は普段の食事(米・野菜・肉・お菓子)として様々な栄養を取ります。摂取した糖質は血液中ではグルコースとなり、肝臓や筋肉に貯蔵された状態ではグリコーゲンといいます。運動を行うということはエネルギーが必要で、肝臓や筋肉に貯蔵されているグリコーゲンを解糖することでエネルギーを産生します。もう一つ筋肉内のミトコンドリアでは酸化系によるエネルギー産生が行われ、これは脂肪を分解することでエネルギーを産生します。

運動(動くため)するためのエネルギーとして糖質と脂肪の2つを利用しているということです。また、糖質を利用する無酸素系の解糖で乳酸が作られます。

血液中のグルコースは一定に保たれるようになっておりこの値を血糖値といいます。糖尿病などでよく耳にする!皆が気になる血糖値@о@

グリコーゲンの貯蔵量は個人差があるのですが、肝臓に約500kcalで筋肉内は約2000 kcalと言われています。体内の血糖値の低下(グルコース↓)が起こると血糖値調整のために肝臓のグリコーゲンが分解されます。筋肉内のグリコーゲンは運動をしないと分解されません。ということは?食事療法でダイエットをすると血糖値が下がり肝臓のグリコーゲン分解が進みカロリー消費されますが・・・肝臓の貯蔵量は500 kcal程度ですよね?ん〜肝臓だけではあんまりカロリー消費を期待できそうにありません><運動をすると2000 kcalも貯蔵量のある筋肉内のグリコーゲンの一部も分解するため、肝臓と筋肉のグリコーゲンを合わせて消費するからダイエットとしては期待できそうです!ダイエットに運動が重要な一つの要因ですね。


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話を戻して、グリコーゲンはいくつかの段階をへて最終的にミトコンドリアで酸化されるのですがこの途中で乳酸が作られます。また、食事摂取した糖質の余分なエネルギーは脂肪という形で体内に貯蔵されます。糖質・脂肪はエネルギー産生のための重要な燃料ですが、解糖系で一旦作られた乳酸も最終的にはミトコンドリアで酸化されエネルギーとして利用されるので重要な燃料なのです。乳酸って「疲労物質」じゃないの?

よく乳酸というと疲労物質であり、乳酸が疲労を起こしているという誤解をされている方も多いようですね。基本的には乳酸が疲労を起こしているというよりも、疲労時に測定すると血中の乳酸濃度が上がっているという状態です。乳酸も最終的にはミトコンドリアでエネルギー産生の燃料として使用されますので糖質や脂肪と同じ働きをします。乳酸のみで体の疲労を起こしているのでは無いというのが正しいようですね。

しかし、乳酸は文字通り「酸」です。酸が増加するということはpHが低下するということで、この時のプロトンの増加などが疲労に影響していると考えられています。その他にも要因はいくつかあると考えられますが、「乳酸=疲労の原因」では無いのは事実のようですね!

乳酸と言えばもう一つスポーツにとって大事な指標となる「乳酸性作業閾値(LT)」という言葉があります。乳酸性作業閾値(LT)は「ある運動強度から血中乳酸濃度が上昇するポイント(境界線)」を意味し、乳酸産生増加(解糖系の利用増大)の指標となります。つまり、乳酸を使用するような運動量により「きつい運動」ですよね。


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肝臓や筋肉内に貯蔵されている糖はすぐに補給できるものでもなく、LT以上の強い運動強度で運動を長く続けるということはエネルギー源が枯渇し(燃料である糖の量は限られている)体内は酸性化(pH↓)し疲労が増加します。100mの金メダリストでも、100mと同じスピードで200mを維持できないですよね。

サッカーやバスケはダッシュと歩く動作を繰り返しますよね?ダッシュは短い距離と短時間で行われますが、そのスピード・パワーはLT以上の高強度負担を強いられます。良い成績を残す優秀な選手はこのLTが高いことが重要であり、また産生された乳酸を早く酸化(回復が早い)できる能力が重要です。

他者より同じ運動量でもLTが高いと疲労しにくいでしょうし、回復力が早いということは試合後半までスピードを維持できます。サッカーなどをTVで見ていると選手によっては後半のスピード低下がハッキリしますよね!一流は後半もすごい\@∀@ゞ

乳酸を酸化するミトコンドリアは遅筋線維に多く含まれます。ということは?酸化能力の向上のためにはミトコンドリアの量を増やすことが重要で、持久力トレーニングでこのミトコンドリアを増やすことが可能です。もちろん筋線維周囲には毛細血管も増加するので循環機構の向上も大きく乳酸の酸化に影響します。サッカーやバスケのような競技でも持久力強化の訓練は重要なようですね^-^


一般の人の健康作りではLT境界域あたりで運動(軽いジョギング)を行うとちょうどよい運動負荷であり、長時間運動が行いやすいでしょうし、ウォーキングだけよりも消費カロリーも大きいのでダイエットにも最適でしょうね!^-^

プロスポーツなどでは血中乳酸濃度を計測しながらトレーニングを行うこともあるのですが、一般の健康作りの運動ではいちいち採血しながら行うのはめんどうな話です。LTあたりの運動強度の主観的な指標としては、ジョギングなどを行っている時は「快調だ〜」から「ちょいきつい」くらいの感覚で走るとちょうど良い!少し呼吸が乱れる程度ですね。

LTの範囲を超えないような運動を長く続けると、結果的に運動量は増えるし楽しく継続できるでしょうね。継続は力なり^∀^


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